不妊の原因

不妊の原因はさまざまにあります。原因の分類にはいくつかの分け方がありますが、不妊の原因がカップルのどちらにあるかという点では、男性に原因がある「男性因子」と、女性に問題がある「女性因子」に分けられます。

■女性因子(女性側の原因)

女性側の原因には、(1)排卵に問題がある「排卵因子」(内分泌因子ともいいます)、(2)卵管に問題がある「卵管因子」、(3)子宮に問題がある「子宮因子」、(4)子宮頸管に問題がある「頸管因子」の4つに大別されます。

(1)排卵因子(内分泌因子)
卵子が育たない、育っても排出できないなど、排卵が正常に行われないために引き起こされる不妊を「排卵因子」の不妊といいます。
排卵には、さまざまな性ホルモンの分泌(内分泌)が関与しているため、排卵因子を「内分泌因子」ともいいます。
・視床下部性排卵障害
(無排卵周期症、無月経症)
・高プロラクチン血症
・多嚢胞性卵巣症候群
(PCOS)
・黄体機能不全

(2)卵管因子
卵子と精子の通り道である卵管が閉じていたり、狭くなっているなど卵管に問題があるために起こる不妊を「卵管因子」の不妊といいます。
・クラミジア感染症
・子宮内膜症

(3)子宮因子
子宮に何らかの問題があり、着床しにくいことから起こる不妊を「子宮因子」の不妊といいます。 ・子宮筋腫
・子宮腺筋症
・子宮奇形
・子宮内膜ポリープ

(4)頸管因子
子宮頸管から分泌され、精子を通過しやすくさせる頸管粘液の分泌量が少なく、精子の通過の妨げとなるなど頸管に問題があるために起こる不妊を「頸管因子」の不妊といいます。
・頸管粘液分泌不全
・頸管狭窄・閉塞

■男性因子(男性側の原因)

男性側の原因には、(1)精子をつくる精巣に問題がある「造精機能障害」、(2)精子の輸送路に問題がある「精路通過障害」、(3)副性器(精巣上体、前立腺、精のう)に問題がある「副性器障害」、(4)勃起や射精ができない「性機能障害」の4つに大別されます。

(1)造精機能障害
精子をつくる働きに障害があり、精子の数が少ない(乏精子症)、または無い(無精子症)、精子の運動性が低い(精子無力症)といった場合を「造精機能障害」といいます。
・精索静脈瘤
・クラインフェルター症候群
・停留精巣

(2)精路通過障害
精巣で精子がつくられていても、精子の輸送路(精路)がふさがっていたり、狭かったりすることで精子が先へ進めない場合を「精路通過障害」といいます。
・精巣上体炎、精管炎(クラミジア感染症)
・逆行性射精

(3)副性器機能障害
副性器(精巣上体、前立腺、精のう)に何らかのトラブルがあり、精子の運動能力が低い場合を「副性器機能障害」といいます。
・精のう炎、前立腺炎

(4)性機能障害
精巣で精子が十分につくられており、精子の輸送路もふさがっていないが、勃起や射精などの性機能に問題があり、性交ができない場合を「性機能障害」といいます。
・動脈硬化や高血圧、糖尿病
・緊張、ストレス、失敗体験

■免疫因子

 

    代表的な疾患
免疫因子 頸管粘液の中に、精子を異物として認識して攻撃する「抗精子抗体」が存在することがあり、この抗体によって精子の働きが悪くなったり、動けなくなるなどして授精できない場合を「免疫性不妊」といいます。
抗精子抗体は、自己抗体として男性の体からも検出される場合もあります。このような免疫反応を原因とする不妊は、男性因子・女性因子とは区別します。
・抗精子抗体
・抗透明帯抗体

■機能性不妊(原因不明)

 

機能性不妊 男女双方が検査を受けても、ともに異常が認められないこともあり、こうした場合を「機能性不妊」といい、不妊の約10~20%に相当するといわれています。

 

[2013.08.01掲載]