卵管障害には、卵管采に癒着があって卵子を取り込めない「ピックアップ障害」や、卵管内の通過性に問題がある「卵管通過障害」などがあります。卵管にトラブルが発生しやすいのは、女性の生殖器の中で最も粘膜が薄いため、虫垂炎や性感染症(STD)などにより炎症を起こしやすく、この後遺症として癒着や閉塞などを招きやすいためです。
近年は、クラミジア感染による卵管障害が増加しています。また、子宮内膜症により卵管周囲癒着が起こることも少なくありません。

クラミジア感染症 クラミジア・トラコマチスという病原体が性交によって感染します。男性は尿道炎、女性は子宮頸管炎などを発症しますが、女性は感染しても約80%は自覚症状がないといわれ、発見が遅れがちです。クラミジア感染が進行すると、子宮から卵管、腹腔内へと炎症が広がり、卵管の閉塞や癒着などを引き起こします。
子宮内膜症 月経周期に合わせて厚くなり剥がれ落ちる子宮内膜によく似た細胞(子宮内膜様細胞)が、子宮内膜以外の場所で増殖する病気です。卵管の周囲や卵巣、骨盤などの腹腔内に加え、まれに肺などで見られることもあります。ホルモンの作用により、発生した場所で月経と同様に出血しますが、出口がなければ体外に流れ出ることができません。このため、たまった血液が塊となり、やがて周囲の臓器と癒着します。中でも、卵巣内に発生してチョコレートのように黒くどろどろした血液がたまっているものは「チョコレート嚢胞」と呼ばれます。なお、子宮体部筋層に発生する子宮内膜症は、その発生・発育機序や臨床症状が異なるために子宮腺筋症とよび、別に取り扱われます。
子宮内膜症が発生するメカニズムはまだ解明されていませんが、卵管の通過性や胚の着床などが妨げられることがわかっており、不妊の大きな原因になります。     

子宮

 

■子宮内膜症の疫学

子宮内膜症は10代後半より発生し、年齢とともに急速に増加し、40代後半には減少していきます。子宮内膜症の誘因で促進因子でもあるエストロゲンの分泌が増加する20~30代の性成熟期に加速度的に増加し、40~44歳でピークとなります。また、生殖年齢にある女性の約10%に子宮内膜症が見られます。子宮内膜症は、近年その発生が急速に増加しています。その要因として、初経年齢の早期化、初産年齢の高齢化と小産化など、女性のライフスタイルの変化に伴ってエストロゲンにさらされる期間が長くなったことと、それにより骨盤内が月経血にさらされる期間が長くなったことが挙げられます。
生殖医学の進歩により、子宮内膜症と不妊症との関連が次々と明らかになってきています。子宮内膜症の存在が不妊症を引き起こすことは明白で、「子宮内膜症合併不妊症」という診断名も定着してきました。
 

[2014.03.04掲載]